マヤノトップガン


マヤノトップガン

突如現れた“超新星”

皐月賞の前日に500万下で3着に敗れ、日本ダービー当日、中京競馬場でようやく500万下を勝ち上がったマヤノトップガン。サンデーサイレンス産駒がクラシック戦線で大暴れしている時に、1頭のブライアンズタイム産駒はひっそりと条件戦を走っていました。

デビューが年明けと少し遅れ、勝ち上がるまでに4戦を要し、500万下を勝ち上がるのにも3戦を要したマヤノトップガン。以外にもここまで7戦すべてダート戦を使われ、ロイヤルホンコンJCT(900万下)で初めて芝を走り3着。続くやまゆりステークス(900万下)で3勝目を上げ、秋に向けて休養に入りました。もちろんこの時点では、この1頭のブライアンズタイム産駒が、後に頂点を極めるなど誰も思っていませんでした。

秋に菊花賞の出走権を賭けて神戸新聞杯に出走。ダービー馬タヤスツヨシと初対戦となりましたが、タヤスツヨシが5着に凡走する中、マヤノトップガンは先行策からクビ差の2着で菊花賞の出走権を得ると、京都新聞杯にも出走し、神戸新聞杯から一転後方待機の作戦を取り、今度は追い込んで僅かに届かずクビ差の2着。しかしどんな競馬でも出来るマヤノトップガンの成長を感じた田原成貴は、この時点でかなりの手応えを感じ、菊花賞へ向かいました。

オークス馬ダンスパートナーが、フランス遠征から帰国、菊花賞に果敢に挑戦し、1番人気に支持される中、ダービー馬タヤスツヨシは秋2走の凡走から5番人気と一気に人気を落とし、マヤノトップガンは差のない3番人気でレースを迎えました。

マヤノトップガンは神戸新聞杯同様、好位からレースを進めると、4コーナーでは早くも先頭に立ち、直線に向かいました。直線に入ってもマヤノトップガンの脚色は衰えるどころか、さらに加速!結局2着トウカイパレスに1馬身1/4差を付ける完勝で、一気にGT制覇!クラシック最後の菊花賞を制しました。

菊花賞制覇後、有馬記念の出否を迷っていた陣営は有馬記念出走を決断。しかしこの遅い選択のせいか菊花賞馬は6番人気と意外なほどに低評価でした。しかしこの有馬記念でマヤノトップガンの力は完全に認められる事となりました。

逃げ馬不在。そんな中押し出されるようにハナを奪ったマヤノトップガン。人気馬が後方で牽制しあう中マヤノトップガンは6番人気という事もあってか、まったくのノーマークで直線に入ると、最後までしっかりした脚色であっさりGTを連勝。同じブライアンズタイムを父に持ち、復調手前の前年の3冠馬ナリタブライアン、女傑ヒシアマゾン、天皇賞馬サクラチトセオー、同期で皐月賞馬のジェニュインらをまったく寄せ付けなかった事で、菊花賞勝ちもフロックではなく、実力である事を証明して見せました。

古馬になったマヤノトップガンは、阪神大賞典から始動。ここで有馬記念で対戦したナリタブライアンと2度目の対戦。単勝2.0倍の1番人気に支持されたのはマヤノトップガン。単勝2.1倍でナリタブライアンが続き、人気はまったくの五分でした。そして歴史的レースは幕を開けました。

マヤノトップガンは中段から、武豊とナリタブライアンマヤノトップガンをマークしてレースを進め、3コーナーに差し掛かるとマヤノトップガンは馬なりで先頭に立ち、追うようにナリタブライアンも上がって行き、4コーナー過ぎでは早くも2頭が馬体を合わし直線に向かいました。

譲らない、まったく2頭とも譲らない。3番手はすでに遥か後方、完全なマッチレース。阪神競馬場の直線、このままどこまで行っても2頭は永遠と並んだままじゃないかと思われるくらいの歴史的マッチレースにもゴールが近づきました。内マヤノトップガンが少し抜け出したかと思われた瞬間、外ナリタブライアンが最後の力を振り絞り差し返した所がゴールでした。この2頭のマッチレースで次の天皇賞(春)もこの2頭で決まり、誰もが当然のようにそう思っていました。

そして迎えた天皇賞(春)。今度はナリタブライアンに1番人気を譲りましたが、とにかくこの2強対決に沸き、レースは始まりました。前走同様マヤノトップガンが前、その後ろにピッタリとナリタブライアンがマークし、マヤノトップガンが4コーナーで早くも先頭に立ち直線に向かいました。

しかし直線に入ると、あっさりナリタブライアンに交わされたマヤノトップガンは、結局5着、2強対決に敗れましたが、ナリタブライアンも遅れてきた大物サクラローレルに並ぶ間もなく交わされ、マヤノトップガンにとっては新たなライバルの誕生となりました。

その後宝塚記念に直行したマヤノトップガン。しかしここにはサクラローレルもいなく、ナリタブライアンは故障で引退。今まで戦ってきたメンバーに比べると明らかに手薄なメンバー。ここでは力が違うとばかりに己の力を誇示し、GT3勝目を上げ、秋に向けて休養に入りました。

秋はオールカマーから始動し、サクラローレルを抑えて1番人気に支持されましたが、見せ場なく4着敗戦。この不甲斐ない敗戦に次の天皇賞(秋)では4番人気と評価を落としました。

例年になく豪華なメンバーが揃った天皇賞(秋)。マヤノトップガンは前走の敗戦から4番人気と人気を落としレースを迎えました。マヤノトップガンは好位からレースを進め、後ろには最強の上がり馬マーベラスサンデー、さらに後ろに現役最強馬の呼び声高い1番人気サクラローレル。前には3歳(旧4歳)ながら果敢に挑戦してきたサンデーサイレンス産駒のバブルガムフェロー。強敵に挟まれたマヤノトップガンでしたが、直線に入ると、GT3勝馬の意地か、鋭い末脚でバブルガムフェローに迫りました。しかし最後までバブルガムフェローを交わす事は出来ず、さらにはサクラローレルにも迫られましたが、2着は死守。プライドは保ち、2年連続制覇に向けて有馬記念に向かいました。

天皇賞(秋)の敗因がはっきりしていたサクラローレルが単勝2.2倍で1番人気。マヤノトップガンが5.9倍の2番人気でレースを迎えた有馬記念。マヤノトップガンはいつも通り好位からの競馬。一方サクラローレルは天皇賞(秋)の二の舞いはごめんだと、早めの競馬で直線に向かいました。

しかし直線に入ると明暗は、はっきりと分かれました。現役最強馬に向けて、力強い脚色で1歩1歩ゴールを目指すサクラローレル。そのサクラローレルを遥か後方から、見ることしか出来なかったマヤノトップガン。完敗。サクラローレルに敗れたのみならず、7着惨敗。この有馬記念で立場は決定的となりました。

この有馬記念で引退予定だったサクラローレルでしたが、もう1年現役を続行、来年は天皇賞(春)の結果次第で凱旋門賞に挑戦するプランを表明しました。マヤノトップガン陣営にとって見れば、もう1度サクラローレルに挑戦する事が出来、有馬記念の屈辱を晴らすべく、天皇賞(春)に向けて調整を始めました。

そして去年同様、阪神大賞典から天皇賞(春)に向かうローテーションをとったマヤノトップガン。手薄なメンバーとなった阪神大賞典を圧勝し、いよいよサクラローレルとの最終対決に挑みました。

有馬記念からぶっつけでの出走となった現役最強馬サクラローレルが2.1倍で1番人気。マヤノトップガンが3.7倍で続き、マーベラスサンデーが4.1倍で3番人気。“3強”。人気、実力共この3頭が抜けている事は明らか。こうして最終対決のゲートは開かれました。

いつもなら1番前にいるはずのマヤノトップガンが3強の中では1番後ろ。サクラローレルは中段からレースを進め、マーベラスサンデーと武豊はサクラローレルをピッタリとマーク。そして3コーナー手前で早くもサクラローレルが仕掛け2番手に上がると、4コーナー過ぎでは先頭に立ち、直線に向かいました。

サクラローレルが抜け出しにかかりましたが、ピッタリマークしていたマーベラスサンデーが襲い掛かり、1度はマーベラスサンデーが交わしましたが、現役最強馬の意地で差し返すサクラローレル。やはりサクラローレルか、誰もがそう思ったとき、明らかに違う脚色で飛んできた馬が1頭、マヤノトップガンでした。2頭が凌ぎを削る中、マヤノトップガンは驚異的な末脚で2頭を並ぶ間もなく一気に差し切り、レコードで圧勝!マヤノトップガンの力を改めて証明して見せました。

秋にジャパンカップで引退する予定だったマヤノトップガンでしたが、その後、競走馬の不治の病“左前浅屈腱炎”を発症し、そのままターフを去る事となりました。

先行して勝った菊花賞、逃げて勝った有馬記念、そして後方から鮮やかな追い込み勝ちを決めた天皇賞(春)。どんな競馬でも出来る変幻自在のレースぶり、そして鞍上・田原成貴のクールなパフォーマンス。競馬界に新しい風を吹きこみ、鮮やかに去っていったマヤノトップガンナリタブライアンが他界した今、ブライアンズタイムの後継種牡馬として、マヤノトップガンの血は貴重なものとなりました。



マヤノトップガン
生年月日 1992,3,24
性別
毛色 栗毛
生産地 北海道新冠
生産者 川上悦夫
馬主 田所佑
調教師 坂口正大
競争成績 21戦8勝
GT勝ち鞍 菊花賞・有馬記念・宝塚記念・天皇賞(春)
獲得賞金 810,390,000円

レース名 年月日 競馬場 人気 着順 騎手 距離 馬場 タイム 着差 1着(2着)馬
新馬 1995/1/8 京都 - 1 5 武豊 D1200 1.14.9 7馬身 ワンダーパヒューム
未勝利 2/19 京都 - 4 3 田原 D1200 1.14.2 2.1/4馬身 スタースワロー
未勝利 3/11 京都 - 1 3 武豊 D1200 稍重 1.14.2 4馬身 ポリッシュアドミラル
未勝利 3/25 京都 - 2 1 武豊 D1200 稍重 1.13.0 1.1/2馬身 (ランドゼノビア)
500万下 4/15 京都 500 3 3 武豊 D1200 1.12.6 1.1/2馬身 フサイチビクトリー
500万下 5/7 京都 500 4 3 田原 D1200 1.12.1 3.1/4馬身 ワカサアイネス
500万下 5/28 中京 500 4 1 田原 D1700 1.46.8 7馬身 (キタサンシルバー)
ロイヤルホンコンJCT 6/18 中京 900 5 3 田原 T2000 2.01.3 1/4馬身 フェアダンス
やまゆりS 7/9 中京 900 2 1 田原 T1800 1.49.8 1.1/2馬身 (スリリングアワー)
神戸新聞杯 9/17 京都 GU 5 2 田原 T2000 1.59.8 タニノクリエイト
京都新聞杯 10/15 京都 GU 2 2 田原 T2200 2.11.5 ナリタキングオー
菊花賞 11/5 京都 GT 3 1 田原 T3000 R.3.04.4 1.1/4馬身 (トウカイパレス)
有馬記念 12/24 中山 GT 6 1 田原 T2500 2.33.6 2馬身 (タイキブリザード)
阪神大賞典 1996/3/9 阪神 GU 1 2 田原 T3000 3.04.9 ナリタブライアン
天皇賞(春) 4/21 京都 GT 2 5 田原 T3200 3.18.8 6馬身 サクラローレル
宝塚記念 7/7 阪神 GT 1 1 田原 T2200 2.12.0 1.1/2馬身 サンデーブランチ
オールカマー 9/15 中山 GU 1 4 田原 T2200 2.17.6 6馬身 サクラローレル
天皇賞(秋) 10/27 東京 GT 4 2 田原 T2000 1.58.8 1/2馬身 バブルガムフェロー
有馬記念 12/22 中山 GT 2 7 田原 T2500 2.35.3 9馬身 サクラローレル
阪神大賞典 1997/3/16 阪神 GU 1 1 田原 T3000 稍重 3.07.2 3.1/2馬身 (ビッグシンボル)
天皇賞(春) 4/27 京都 GT 2 1 田原 T3200 R.3.14.4 1.1/4馬身 サクラローレル

ブライアンズタイム

Brian's Time

1985 / 黒鹿毛
Roberto

1969 / 鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Bramalea Nashua
Rarelea
Kelley's Day

1977 / 鹿毛
Graustark Ribot
Flower Bowl
Golden Trail Hasty Road
Sunny Vale
アルプミープリーズ

Alp Me Please


1981 / 栗毛
Blushing Groom

1974 / 栗毛
Red God Nasrullah
Spring Run
Runaway Bride Wild Risk
Aimee
Swiss

1974 / 栗毛
Vaguely Noble Vienna
Noble Lassie
Gala Host My Host
Huspah


マヤノトップガン種牡馬成績 (代表産駒)
代表産駒 主な勝ち鞍等
バンブーユベントス 日経新春杯
チャクラ ステイヤーズステークス・目黒記念
プリサイスマシーン 中日新聞杯(2回)

マヤノトップガン兄弟 (代表兄弟)
兄弟 主な勝ち鞍等
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フジキセキ」「ジェニュイン」「タヤスツヨシ」「マーベラスサンデー」「ダンスパートナー」「イシノサンデー」「バブルガムフェロー」「ダンスインザダーク

サイレンススズカ」「ステイゴールド」「スペシャルウィーク」「アドマイヤベガ」「スティンガー」「トゥザヴィクトリー」「エアシャカール

アグネスフライト」「チアズグレイス」「メジロベイリー」「アグネスタキオン」「マンハッタンカフェ」「ビリーヴ」「ゴールドアリュール

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ハットトリック「オレハマッテルゼ」「ヘヴンリーロマンス」「エアメサイア」「フサイチパンドラ


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