ライスシャワー |
“黒い刺客”。ことごとく人気馬の夢を打ち砕いていったライスシャワーは、いつしかそう呼ばれるようになっていました。 デビュー戦をクビ差で辛勝したライスシャワー。2戦目の新潟3歳ステークス(現・新潟2歳ステークス)では11着に惨敗するも、3戦目の芙蓉ステークスを勝ち、賞金的に皐月賞への権利をほぼ手中にし、来春に向けて早々と休養に入りました。 約半年休養したライスシャワーはスプリングステークスから始動しましたが、12番人気の4着。しかし勝ったミホノブルボンからは9馬身離され、続く本番の皐月賞でも11番人気とまったくの人気薄で、結果も離された8着。この時点では誰もがライスシャワーの事など気にも留めていませんでした。 皐月賞後、NHK杯に出走するも8着。そしてノーマークのまま日本ダービーへ向かいました。 18頭立ての16番人気。近走の成績から当然のように評価は低かったライスシャワー。しかしミホノブルボンには4馬身離されましたが、2着に入る大健闘。それでも世間ではこの好走をフロック視する意見が大多数でした。 夏を休養に充てたライスシャワー。秋はセントライト記念から始動し2着。続く京都新聞杯でも2着に入り、芙蓉ステークス以来勝ち星からは遠ざかっていましたが、この頃には日本ダービー好走をフロック視する声も、まったくなくなり、ミホノブルボンの3冠を阻止するとしたらライスシャワーしかいない、そんな意見が占めていました。 そして3冠最後、というよりミホノブルボンの3冠がかかった菊花賞。当然のようにミホノブルボンが断然の1番人気。ライスシャワーは7.3倍と大きく離された2番人気でレースを迎えました。 距離を意識したのか、ミホノブルボンは2番手からの競馬で、ライスシャワーはミホノブルボンを見ながら5番手を追走し、4コーナーを廻り直線に向かいました。そして直線に入るとステイヤーの血が一気に開花。ライスシャワーはあっという間にミホノブルボンを置き去りにし、1馬身1/4差付ける完勝でミホノブルボンの3冠を阻止、スタミナならどの馬にも負けないことを証明しました。 菊花賞制覇後、有馬記念に出走し2番人気に支持されましたが8着に終わり、来春に向けて休養に入ったライスシャワー。春の大目標、天皇賞(春)に向け目黒記念から始動し2着。続く日経賞では人気に応える走りで快勝、GT2勝目を目指し堂々と天皇賞(春)に向かいました。 しかし菊花賞同様この天皇賞(春)でもライスシャワーは脇役。主役は天皇賞(春)3連覇を賭けて出走したメジロマックイーンでした。単勝1.6倍の圧倒的1番人気にメジロマックイーン。ライスシャワーは5.2倍の2番人気でレースを迎えました。 レースはメジロパーマーが2番手を大きく離して逃げ、ライスシャワーはメジロマックイーンを徹底的にマークし、4,5番手を進みましたが、4コーナーでは早くもメジロマックイーンを交わし、直線に向かいました。直線に入って逃げ粘るメジロパーマーを交わしたライスシャワーは、自慢のスタミナで最後までしっかりした脚色で後続を2馬身1/2差突き放し完勝。GT2勝目を上げると共に、メジロマックイーンの天皇賞(春)3連覇の夢を打ち砕きました。 天皇賞(春)制覇後は、秋に向けて休養に入ったライスシャワー。秋はオールカマーから始動しましたが、ツインターボの大逃げを捕らえられず3着。しかし続く天皇賞(秋)では堂々1番人気、主役として出走しました。 しかし2000mはライスシャワーにはあまりにも短すぎました。自慢のスタミナを発揮する前にレースは終わり、6着敗戦。続くジャパンカップでは7番人気と一気に人気を落とし、好位を追走するも14着惨敗。2年連続出走となった有馬記念でも8着と、まったく奮いませんでした。 年が明け去年同様、京都記念から始動したライスシャワー。しかし1歳年下の菊花賞馬ビワハヤヒデの前に5着敗戦、次の日経賞ではステージチャンプのハナ差2着で、予定通り天皇賞(春)連覇を賭けて出走する予定でしたが故障し、休養を余儀なくされました。 約9ヶ月ぶりの復帰初戦は有馬記念。しかし10年ぶりの3冠馬となったナリタブライアンに完全に主役の座を奪われ、結果も6馬身離された3着。しかし9ヶ月ぶりとしては内容は上々でした。 6歳(旧7歳)になったライスシャワーは3年連続、京都記念⇒日経賞のローテーションを組み、いずれも1番人気に支持されましたが、6着、6着。ライスシャワーはもう終わったのか?そんな声も聞かれ、天皇賞(春)では手薄なメンバー構成ながら4番人気に甘んじたライスシャワー。しかしこの3200m戦だけは負けるわけにはいきませんでした。 自慢のスタミナを活かし3コーナーから早くも先頭に立ったライスシャワーは、直線に入って後続を突き放しましたが、後方からステージチャンプが猛追。2頭がまったく並んでゴール板を駆け抜け、脚色は断然ステージチャンプだった事から、ステージチャンプの蛯名も思わずガッツポーズ!しかし長い写真判定の末、ライスシャワーがハナ差ステージチャンプを凌ぎ、GT3勝目を上げました。 そして宝塚記念に向かったライスシャワー。この年阪神大震災で阪神競馬場が使用できず、ライスシャワーの得意の京都競馬場で行なわれました。しかしこの宝塚記念がライスシャワーの最期の日となるなど誰も思っていませんでした。 いつもより後方でレースを進めたライスシャワーでしたが、3コーナーでいきなり転倒。その転倒の仕方は明らかに尋常ではなく、素人目にもこれは助からないと思いました。案の定、回復の見込みがないという事で、安楽死の処置がとられ、予後不良となりました。。 その類稀なるスタミナを後世に残す事無く、天まで駆けていったライスシャワー。ニヒルな役回りを演じさせられたライスシャワー。ライスシャワーの子供には主役を演じて欲しかったですが、その夢が叶う事はありませんでした。 |
ライスシャワー | |
生年月日 | 1989,3,5 |
性別 | 牡 |
毛色 | 黒鹿毛 |
生産地 | 北海道登別 |
生産者 | ユートピア牧場 |
馬主 | 栗林英雄 |
調教師 | 飯塚好次 |
競争成績 | 25戦6勝 |
GT勝ち鞍 | 菊花賞・天皇賞春(2回) |
獲得賞金 | 729,497,200円 |
レース名 | 年月日 | 競馬場 | 格 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
新馬 | 1991/8/10 | 新潟 | - | 2 | 1 | 水野 | T1000 | 良 | 58.6 | 首 | (ダイイチリユモン) |
新潟3歳S | 9/1 | 新潟 | GV | 3 | 11 | 菅原泰 | T1200 | 良 | 1.11.7 | 5馬身 | ユートジェーン |
芙蓉S | 9/21 | 中山 | OP | 2 | 1 | 水野 | T1600 | 重 | 1.36.1 | 頭 | (アララットサン) |
スプリングS | 1992/3/29 | 中山 | GU | 12 | 4 | 柴田政 | T1800 | 重 | 1.51.7 | 9馬身 | ミホノブルボン |
皐月賞 | 4/19 | 中山 | GT | 11 | 8 | 的場 | T2000 | 良 | 2.02.8 | 8馬身 | ミホノブルボン |
NHK杯 | 5/10 | 東京 | GU | 9 | 8 | 的場 | T2000 | 重 | 2.03.4 | 4.1/4馬身 | ナリタタイセイ |
日本ダービー | 5/31 | 東京 | GT | 16 | 2 | 的場 | T2400 | 稍重 | 2.28.5 | 4馬身 | ミホノブルボン |
セントライト記念 | 9/27 | 中山 | GU | 3 | 2 | 田中勝 | T2200 | 良 | 2.13.6 | 頭 | レガシーワールド |
京都新聞杯 | 10/18 | 京都 | GU | 2 | 2 | 的場 | T2200 | 良 | 2.12.2 | 1.1/2馬身 | ミホノブルボン |
菊花賞 | 11/8 | 京都 | GT | 2 | 1 | 的場 | T3000 | 良 | R.3.05.0 | 1.1/4馬身 | (ミホノブルボン) |
有馬記念 | 12/27 | 中山 | GT | 2 | 8 | 的場 | T2500 | 良 | 2.34.1 | 3.1/2馬身 | メジロパーマー |
目黒記念 | 1993/2/21 | 東京 | GU | 2 | 2 | 的場 | T2500 | 良 | 2.32.8 | 2.1/2馬身 | マチカネタンホイザ |
日経賞 | 3/21 | 中山 | GU | 1 | 1 | 的場 | T2500 | 良 | 2.35.8 | 2.1/2馬身 | (イタリアンカラー) |
天皇賞(春) | 4/25 | 京都 | GT | 2 | 1 | 的場 | T3200 | 良 | R.3.17.1 | 2.1/2馬身 | (メジロマックイーン) |
オールカマー | 9/19 | 中山 | GU | 1 | 3 | 的場 | T2200 | 良 | 2.13.6 | 6馬身 | ツインターボ |
天皇賞(秋) | 10/31 | 東京 | GT | 1 | 6 | 的場 | T2000 | 良 | 1.59.6 | 4馬身 | ヤマニンゼファー |
ジャパンカップ | 11/28 | 東京 | GT | 7 | 14 | 的場 | T2400 | 良 | 2.25.9 | 9馬身 | レガシーワールド |
有馬記念 | 12/26 | 中山 | GT | 5 | 8 | 的場 | T2500 | 良 | 2.32.1 | 7馬身 | トウカイテイオー |
京都記念 | 1994/2/13 | 阪神 | GU | 2 | 5 | 的場 | T2200 | 稍重 | 2.18.3 | 10馬身 | ビワハヤヒデ |
日経賞 | 3/20 | 中山 | GU | 2 | 2 | 的場 | T2500 | 良 | 2.32.8 | 鼻 | ステージチャンプ |
有馬記念 | 12/25 | 中山 | GT | 4 | 3 | 的場 | T2500 | 良 | 2.33.1 | 6馬身 | ナリタブライアン |
京都記念 | 1994/2/12 | 京都 | GU | 1 | 6 | 的場 | T2200 | 稍重 | 2.12.5 | 4.1/2馬身 | ワコーチカコ |
日経賞 | 3/19 | 中山 | GU | 1 | 6 | 的場 | T2500 | 不良 | 2.42.3 | 8馬身 | インターライナー |
天皇賞(春) | 4/23 | 京都 | GT | 4 | 1 | 的場 | T3200 | 良 | 3.19.9 | 鼻 | (ステージチャンプ) |
宝塚記念 | 6/4 | 京都 | GT | 3 | 中止 | 的場 | T2200 | 稍重 | 競争中止 | ダンツシアトル |
リアルシャダイ Real Shadai 1979 / 黒鹿毛 |
Roberto 1969 / 鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Bramalea | Nashua | ||
Rarelea | |||
Desert Vixen 1970 /黒 鹿毛 |
In Reality | Intentionally | |
My Dear Girl | |||
Deset Trial | Moslem Chief | ||
Scotch Verdict | |||
ライラックポイント 1979 / 鹿毛 |
マルゼンスキー 1974 / 鹿毛 |
Nijinsky | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Shill | Buckpasser | ||
Quill | |||
クリカツラ 1962 / 黒鹿毛 |
Tiepolo | Blue Peter | |
Trevisana | |||
クリノホシ | Primero | ||
オホヒカリ |
ライスシャワー種牡馬成績 (代表産駒) | ||
代表産駒 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
1994年宝塚記念で競争中止、予後不良。。 |
ライスシャワー兄弟 (代表兄弟) | ||
兄弟 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
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