フサイチコンコルド |
1995年6月10日。イギリスで1頭のサラブレットが、僅かデビュー2戦目でイギリスダービーを制すという歴史的快挙を成し遂げました。彼の名はラムタラ。その後キングジョージY&QEDS、凱旋門賞を制し、4戦4勝のまま早々と引退。大種牡馬ニジンスキーの最後にして最高傑作と謳われたラムタラ。この1年後、日本でもニジンスキーの血を受け継いだ1頭のサラブレットが、日本競馬界初の快挙を成し遂げる事となりました。 数々の歴史的名馬を輩出してきたニジンスキーを父に持ち、フランスダービーを制し、種牡馬としてもシンコウラブリイを輩出するなど、日本でもなじみの深いカーリアン。そのカーリアン×母父:サドラーズウェルズの間に産まれた超良血フサイチコンコルド。デビュー前から当然のように期待されていたフサイチコンコルドですが、当初から体質が弱く、思い通りの調整が出来ず、デビューも年明けの1月と少し遅れる事となりました。 単勝1.9倍。素質だけで断然の1番人気に支持されたフサイチコンコルド。決して順調に調整を重ねていたわけではなく、陣営にとっても半信半疑でのデビュー戦でした。しかし終わってみれば、2着ヒシビートに1馬身1/2差付ける快勝!力はある。そう確信した陣営ですが、あいかわらず体質が弱く、間隔を空けないとレースには使えず、条件戦を使っていてはクラシックに間に合わない。そこで、すみれステークス(OP)へ向かう事となりました。 新馬戦から2ヶ月空けて迎えたすみれステークス。朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)4着のセイントリファールも出走してきた中、単勝2.1倍の1番人気に支持されたフサイチコンコルド。レースでは後方からまくり気味に進出し、セイントリファールを3/4馬身差凌ぎ、デビューから2連勝。賞金を加算し、皐月賞へも出走できました。しかし陣営は皐月賞には見向きもせず、日本ダービー1本に絞る事としました。体質の弱いフサイチコンコルドにとって、皐月賞と日本ダービーのGT・2戦を走る事は難しい。当然の選択だったかもしれません。 日本ダービーへは、プリンシパルステークス(ダービートライアル:2着までに優先出走権)から向かう事となったフサイチコンコルド。しかしレース週の追い切りを終えた後、熱発。そして回避。大事な時に体質の弱さが出たフサイチコンコルド。それでもなんとかOP特別を勝っていた為、日本ダービーの出走権は確保。もう1度立て直して日本ダービーへ向かう事となりました。ちなみにこのプリンシパルステークスでは、皐月賞で大本命と言われていながら、熱発のため回避したダンスインザダークが完勝し、日本ダービーでも断然の1番人気に推される事が確実となりました。 すみれステークスから3ヶ月空いた日本ダービー。しかも熱発明け、これだけでも厳しい条件でしたが、さらに輸送後、府中に到着したフサイチコンコルドは微熱を出してしまい、日本ダービーまで回避かと思われました。しかし翌日には快方に向かい、ぎりぎりまで迷った陣営も出走に踏み切り、なんとか日本ダービー出走までこぎつけ、レースを迎えることとなりました。 単勝27.6倍の7番人気。素質は認めてもこれだけ不利な要素が重なると、この人気も当然でした。この年の日本ダービーではダンスインザダークを筆頭に、ロイヤルタッチ、イシノサンデーのサンデーサイレンス3強に注目が集まり、フサイチコンコルドはほとんど話題にも上がりませんでした。 そして始まった日本ダービー。サクラスピードオーがレースを引っ張り、ダンスインザダークは好位、フサイチコンコルドは中段からレースを進め、直線に向かいました。抜群の手応えのダンスインザダーク。やっぱりこの馬か、堂々と先頭に立つダンスインザダーク。セフティーリード、武豊ダービー初制覇か?誰もがそう思う中、外から猛然と迫ってくる馬が1頭。ロイヤルタッチか?イシノサンデーか?いや違う、なんだ?13番? ・・・ フ、フサイチコンコルド?1歩1歩確実にダンスインザダークを追い詰めるフサイチコンコルド。武豊・ダンスインザダークも必死に抵抗するが、最後は“血”の成せる業か?ダンスインザダークをねじ伏せて、僅かデビュー3戦目でダービー制覇!まさに日本のラムタラ!これほど衝撃的なダービーは、後にも先にもありませんでした。 輸送すると熱発する事から、夏は栗東で過ごす事となったフサイチコンコルド。しかし夏の終わりに熱発し、調整が遅れ、陣営が選んだ秋初戦はカシオペアステークス(OP)。古馬と初対戦とはいえ、単なるオープン特別、ダービー馬が負けるわけにはいかない。単勝1.3倍と断然1番人気に推されたフサイチコンコルド。しかし逃げたメジロスズマルを捕らえる事が出来ず、5馬身離された2着。休み明けにしても負けすぎ、不安を残したまま菊花賞へ向かう事となりました。 夏を順調に越し、秋初戦の京都新聞杯を快勝したダンスインザダーク。一方あいかわらず体調が弱く、思い通りの調整が出来ないフサイチコンコルド。1番人気も2.6倍でダンスインザダーク、フサイチコンコルドは5倍で2番人気での出走となりました。レースは日本ダービーと逆で、フサイチコンコルドがダンスインザダークより前でレースを進め、直線に向かいました。直線まず先頭に立ったのはフサイチコンコルド。ダンスインザダークは4コーナーで下がり、致命的な位置取り。フサイチコンコルド2冠制覇か?その瞬間、フサイチコンコルドの内から、光のごとく駆け抜けた馬が1頭、ダンスインザダークです。上がり3ハロン33.8秒の鬼脚で一気に全馬を抜き去り、日本ダービーの借りを返す形となりました。フサイチコンコルドは最後ロイヤルタッチにも交わされ3着。それでもダービー馬の意地は見せつけ、来年古馬になり、体調さえ強くなればどの馬にも負けない、そう思いながら来春に向け休養に入りました。 天皇賞(春)を目指していたフサイチコンコルドですが、調教中に左前とう骨骨膜炎を発症し、そのまま引退。ダンスインザダークも菊花賞後、屈腱炎を発症し、引退。結局この2頭の対決を見ることは2度とありませんでした。 音速の末脚で駆け抜けた日本ダービー。奇跡の馬と謳われたフサイチコンコルド。血統的にも魅力的で、親子2代ダービー制覇は時間の問題かもしれません。 |
フサイチコンコルド | |
生年月日 | 1993,2,11 |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
生産地 | 北海道早来 |
生産者 | 社台ファーム |
馬主 | 関口房朗 |
調教師 | 小林稔 |
競争成績 | 5戦3勝 |
GT勝ち鞍 | 日本ダービー(東京優駿) |
獲得賞金 | 234,158,000円 |
レース名 | 年月日 | 競馬場 | 格 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
新馬 | 1996/1/5 | 京都 | - | 1 | 1 | 藤田 | T1800 | 良 | 1.49.9 | 1.1/2馬身 | (ヒシビート) |
すみれS | 3/9 | 阪神 | OP | 1 | 1 | 藤田 | T2200 | 良 | 2.16.0 | 3/4馬身 | (セイントリファール) |
日本ダービー | 6/2 | 東京 | GT | 7 | 1 | 藤田 | T2400 | 良 | 2.26.1 | 首 | (ダンスインザダーク) |
カシオペアS | 10/19 | 京都 | OP | 1 | 2 | 藤田 | T2000 | 良 | 2.00.3 | 5馬身 | メジロスズマル |
菊花賞 | 11/3 | 京都 | GT | 2 | 3 | 藤田 | T3000 | 良 | 2.00.3 | 1/2馬身 | ダンスインザダーク |
Caerleon 1980 / 鹿毛 |
Nijinsky 1967 / 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Flaming Page | Bull Page | ||
Flaring Top | |||
Foreseer 1969 / 黒鹿毛 |
Round Table | Princequillo | |
Knight's Daughter | |||
Regal Gleam | Hail to Reason | ||
Miz Carol | |||
バレークイーン Ballet Queen 1988 / 鹿毛 |
Sadler's Wells 1981 / 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Sun Princess 1980 / 鹿毛 |
English Prince | Petingo | |
English Miss | |||
Sunny Valley | Val de Loir | ||
Sunland |
フサイチコンコルド種牡馬成績 (代表産駒) | ||
代表産駒 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
バランスオブゲーム | 牡 | 弥生賞・セントライト記念・毎日王冠・中山記念 新潟2歳ステークス |
ブルーコンコルド | 牡 | 京王杯2歳ステークス |
オースミハルカ | 牝 | チューリップ賞・クイーンS2回・府中牝馬ステークス |
フサイチコンコルド兄弟 (代表兄弟) | ||
兄弟 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
グレースアドマイヤ(半姉) | 牝 | エリザベス女王杯(6着) |
ボーンキング(半弟) | 牡 | 京成杯 |
>> 歴代名馬物語 TOP |
>> All of サンデーサイレンス TOP |
「ナリタブライアン」「トウカイテイオー」「ミホノブルボン」「ライスシャワー」「ビワハヤヒデ」「サクラローレル」「マヤノトップガン」
「ホクトベガ」「サクラバクシンオー」「ノースフライト」「グラスワンダー」「エルコンドルパサー」「ヒシアマゾン」「エアグルーヴ」
「トロットサンダー」「フラワーパーク」「タイキシャトル」「テイエムオペラオー」「シンボリクリスエス」「クロフネ」「キングカメハメハ」
「フジキセキ」「ジェニュイン」「タヤスツヨシ」「マーベラスサンデー」「ダンスパートナー」「イシノサンデー」「バブルガムフェロー」「ダンスインザダーク」
「サイレンススズカ」「ステイゴールド」「スペシャルウィーク」「アドマイヤベガ」「スティンガー」「トゥザヴィクトリー」「エアシャカール」
「アグネスフライト」「チアズグレイス」「メジロベイリー」「アグネスタキオン」「マンハッタンカフェ」「ビリーヴ」「ゴールドアリュール」
「デュランダル」「ネオユニヴァース」「ゼンノロブロイ」「ピースオブワールド」「スティルインラブ」「アドマイヤグルーヴ」「ダイワメジャー」
「ダンスインザムード」「ダイワエルシエーロ」「ショウナンパントル」「アドマイヤマックス」「スズカマンボ」「ディープインパクト」
「ハットトリック」「オレハマッテルゼ」「ヘヴンリーロマンス」「エアメサイア」「フサイチパンドラ」
「フェブラリーステークス」「高松宮記念」「桜花賞」「皐月賞」「天皇賞(春)」「NHKマイルカップ」
「オークス」「日本ダービー」「安田記念」「宝塚記念」「スプリンターズステークス」「秋華賞」「菊花賞」
「天皇賞(秋)」「エリザベス女王杯」「マイルチャンピオンシップ」「ジャパンカップダート」「ジャパンカップ」
「阪神ジュベナイルフィリーズ」「朝日杯フューチュリティステークス」「有馬記念」
Copyright (C) 2005 All of サンデーサイレンス All Rights
Reserved.