フラワーパーク |
父・ニホンピロウイナーはマイルのGTを3勝した、歴史的マイラー。種牡馬としてもそのスピード能力を産駒に伝え、成功を収めていました。その父から豊かなスピード能力を引き継いだ1頭の牝馬、それがフラワーパークでした。 デビューは大きく遅れ、3歳(旧4歳)の秋、10月29日の新潟でした。秋のGTで盛り上がっている時に、新潟でひっそりデビューしたフラワーパーク。このデビュー戦で、5番人気の牝馬は、まったく見せ場なく10着に終わり、この1頭の牝馬が、これから約1年の間にGTを2勝するなど、到底想像もつきませんでした。 デビュー戦で惨敗したフラワーパークは、2戦目で一気に変わり身を見せ、勝ち上がると、3戦目の恵那特別(500万下)では、2着に4馬身差を付けてあっさり逃げ切り、続く千種川特別(900万下)では、初めて1番人気に推され、期待に応える走りで3連勝。一気に素質を開花させていきました。 年が明け、岩清水ステークス(1500万下)では3着に敗れましたが、続くうずしおステークス(1500万下)では、単勝1.5倍の断然1番人気に推され、余裕の逃げ切り勝ち。1600mのマイル戦では詰めが甘いが、1200mのスプリント戦では、明らかにスピード能力は抜けていました。 1500万下を勝ち上がったフラワーパークは、陽春ステークス(OP)で初めて強敵と対戦しました。快速馬エイシンワシントンです。GT勝ちこそなかったエイシンワシントンですが、その快速ぶりは突出していました。レースではそのエイシンワシントンにあっさり逃げ切られ、フラワーパークは中段から2着に追い上げるのがやっと、しかしここで一流馬と対戦できた事は、フラワーパークにとっては収穫でした。 陽春ステークス2着後は、シルクロードステークスで重賞初挑戦。ヒシアケボノ、エイシンワシントンも出走してきたこのレースで、フラワーパークは差のない4番人気に推され、2番手から抜け出す力強い内容で、重賞初制覇。一気にスプリント路線の中心的存在となりました。 そして迎えた高松宮杯(現・高松宮記念)。この年から、中京:芝:1200mで新設された、第1回のこのレースには、3冠馬ナリタブライアンも参戦してきて、物議を醸しましたが、そのお陰か、中京競馬場の盛り上がりは想像以上でした。 1番人気は去年のスプリンターズステークスを制したヒシアケボノ。3冠馬ナリタブライアンが2番人気、フラワーパークは3番人気での出走でした。レースはスリーコースが、前半の1000mを55.5秒で飛ばす超ハイペース。このハイペースをフラワーパークは楽々2番手を追走し、4コーナーでは早くも先頭に立ち直線に向かいました。直線に入るとフラワーパークの独壇場。ハイペースで飛ばしたスリーコースがズルズル後退する中、2番手を追走したフラワーパークは脚が止まる所か、再加速!結局後方から追い込んできたビコーペガサスに2馬身1/2差付け、レコードで圧勝!一気に頂点に立ち、デビューから僅か7ヶ月弱で、古馬混合のGTを制すという離れ業をやってのけました。 とにかくこの高松宮杯の時のフラワーパークの状態は最高で、騎乗した田原成貴も「風船がふくらんでパンパンの状態」と、独特の言い回しでコメントしていました。 高松宮杯を制したフラワーパークは、安田記念でマイルのGT制覇を目指し、近年稀に見るハイレベルなメンバーの中、5番人気に推されましたが、勝ったトロットサンダーからは4馬身差の9着敗戦。レース前、田原成貴は「ふくらんだ風船がしぼみかけている状態」と、状態が下降気味だった事を間接的にコメントしていました。 安田記念後、秋はスプリンターズステークス1本に絞り、CBC賞からスプリンターズステークスへ向かう事となりました。CBC賞ではエイシンワシントンに逃げ切られ2着に終わりましたが、休み明けとしては上々の内容で、スプリントGT連覇に向けて、スプリンターズステークスに向かいました。 春の高松宮杯とメンバーは、ほとんど同じ。フラワーパークは当然のように単勝2.3倍の1番人気に推され、レースを迎えました。レースはエイシンワシントンが快調に飛ばし、フラワーパークが2番手を追走し、直線に向かいました。 逃げ馬不利と言われるスプリンターズステークス。しかしエイシンワシントンが止まらない。フラワーパークも必死に追い上げる、すでに3番手以降は大きく離され、完全に2頭のマッチレース。残り100mからは2頭が完全に並び、そのまま2頭が並んでゴール板をかけ抜けました。写真判定。長い長い写真判定。これほど長い写真判定も珍しい、GT初の同着かと場内も騒然とする中、やっと掲示板に浮かび上がった数字は“11・8”ハナ差。ハナ差自体は珍しくも何でもありませんでしたが、その後この2頭の差は僅か“1cm”だった事が判明。もしこれが条件戦であったなら、おそらくは同着となっていただろうと言われています。GTゆえ勝者を決めなければならない。この1cm差を制したフラワーパークはスプリントGT連覇を達成し、当然のように、この年の最優秀短距離馬に選ばれました。 翌年も現役を続行したフラワーパークでしたが、その後6戦、フラワーパークが先頭でゴール板を駆け抜ける事はありませんでした。田原成貴ジョッキー風に言えば、「ふくらんだ風船がしぼんでしまった」、そんな感じでしょうか。 |
フラワーパーク | |
生年月日 | 1992,5,8 |
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛 |
生産地 | 北海道平取 |
生産者 | 高橋啓 |
馬主 | 吉田勝己 |
調教師 | 松元省一 |
競争成績 | 18戦7勝 |
GT勝ち鞍 | 高松宮杯・スプリンターズステークス |
獲得賞金 | 363,939,000円 |
レース名 | 年月日 | 競馬場 | 格 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
未勝利 | 1995/10/29 | 新潟 | - | 5 | 10 | 村山 | T1600 | 良 | 1.37.1 | 4馬身 | キョウワグレイト |
未勝利 | 11/11 | 新潟 | - | 4 | 1 | 村山 | T1600 | 重 | 1.38.9 | 1.1/4馬身 | (サクラミヨシノ) |
恵那特別 | 12/3 | 中京 | 500 | 5 | 1 | 村山 | T1200 | 良 | 1.08.8 | 4馬身 | (ヤクモエンジェル) |
千種川特別 | 12/24 | 阪神 | 900 | 1 | 1 | 村山 | T1400 | 良 | 1.21.9 | 1馬身 | (ハギノエンデバー) |
岩清水S | 1996/1/20 | 京都 | 1500 | 2 | 3 | 村山 | T1600 | 良 | 1.35.9 | 1.3/4馬身 | ムツノアイドル |
うずしおS | 2/24 | 阪神 | 1500 | 1 | 1 | 村山 | T1400 | 良 | 1.21.0 | 2馬身 | (ハセノライジン) |
陽春S | 3/23 | 阪神 | OP | 3 | 2 | 村山 | T1200 | 良 | 1.08.5 | 1.3/4馬身 | エイシンワシントン |
シルクロードS | 4/28 | 京都 | GV | 4 | 1 | 田原 | T1200 | 良 | 1.07.6 | 3/4馬身 | (ドージマムテキ) |
高松宮杯 | 5/19 | 中京 | GT | 3 | 1 | 田原 | T1200 | 良 | R.1.07.4 | 2.1/2馬身 | (ビコーペガサス) |
安田記念 | 6/9 | 東京 | GT | 5 | 9 | 田原 | T1600 | 良 | 1.33.8 | 4馬身 | トロットサンダー |
CBC賞 | 11/23 | 中京 | GU | 2 | 2 | 田原 | T1200 | 良 | 1.07.4 | 3/4馬身 | エイシンワシントン |
スプリンターズステークス | 12/15 | 中山 | GT | 1 | 1 | 田原 | T1200 | 良 | 1.08.8 | 鼻 | (エイシンワシントン) |
マイラーズS | 1997/3/2 | 阪神 | GU | 2 | 4 | 田原 | T1600 | 良 | 1.35.3 | 1.3/4馬身 | オースミタイクーン |
シルクロードS | 4/20 | 京都 | GV | 1 | 4 | 田原 | T1200 | 良 | 1.07.6 | 4馬身 | エイシンバーリン |
高松宮杯 | 5/28 | 中京 | GT | 1 | 8 | 田原 | T1200 | 良 | 1.08.9 | 4.3/4馬身 | シンコウキング |
スワンS | 10/25 | 京都 | GU | 7 | 6 | 田原 | T1400 | 良 | 1.21.3 | 3.3/4馬身 | タイキシャトル |
CBC賞 | 11/22 | 中京 | GU | 4 | 4 | 田原 | T1200 | 良 | 1.09.0 | 7馬身 | スギノハヤカゼ |
スプリンターズステークス | 12/14 | 中山 | GT | 3 | 4 | 田原 | T1200 | 良 | 1.08.8 | 6.1/4馬身 | タイキシャトル |
ニホンピロウイナー 1980 / 黒鹿毛 |
スティールハート Steel Heart 1972 / 鹿毛 |
Habitat | Sir Gaylord |
Little Hut | |||
A.1. | Abernant | ||
Asti Spumante | |||
ニホンピロエバート 1974 / 鹿毛 |
China Rock | Rockefella | |
May Wong | |||
ライトフレーム | Rising Flame | ||
グリンライト | |||
ノーザンフラワー 1977 / 鹿毛 |
ノーザンテースト Northern Taste 1971 / 栗毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Lady Victoria | Victoria Park | ||
Lady Angela | |||
ファイアフラワー Fire Flower 1972 / 鹿毛 |
Dike | Herbager | |
Delta | |||
Pascha | Saint Crespin | ||
Easter Gala |
フラワーパーク繁殖成績 (代表産駒) | ||
代表産駒 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
- | - | - |
フラワーパーク兄弟 (代表兄弟) | ||
兄弟 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
- | - | - |
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