ミホノブルボン |
「鍛えられた名馬」。血統的にはお世辞にも素晴らしいとは言えず、取引価格も750万円。この事だけを見れば、期待しろと言うほうが酷である。しかし故・戸山為夫調教師の「馬は鍛えて強くする」をモットーに、ミホノブルボンもデビュー前から栗東の坂路で厳しい調教に耐え、その動きから注目の1頭としてデビュー戦を迎えました。 中京:芝:1000mでデビューしたミホノブルボン。断然人気に支持されレースを迎えたミホノブルボンでしたが、痛恨の出遅れ。1000mの短距離戦では致命的で、惨敗すら考えられました。しかしここから1頭次元の違う走り。上がり3ハロン33.1秒の衝撃的な末脚で、直線だけで一気に差し切りレコード勝ち。衝撃のデビュー戦を飾りました。 続く3歳500万下(現・2歳500万下)では一転好スタートから2番手を追走すると、直線に入ると後続をまったく寄せ付けず6馬身差の楽勝。堂々と朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)に向かいました。 朝日杯3歳ステークスでも単勝1.5倍の断然人気に推され、前走同様2番手からレースを進めたミホノブルボン。直線に入って先頭に立ったミホノブルボンでしたが、最後はヤマニンミラクルに猛迫され、ハナ差の僅差の勝利。デビューから3連勝でGTを制したミホノブルボンでしたが、翌年のクラシックの本命馬としては思われていませんでした。この3戦の内容から距離はマイルまでが限界で、皐月賞は勝負になってもダービーは明らかに厳しい、そんな評価が大多数を占めていました。 そして「スプリングステークスで納得のゆかないレースをするようなら、きっぱりと皐月賞をあきらめ、短距離路線を進むつもりです。」と戸山為夫調教師が語った運命のスプリングステークス。朝日杯3歳ステークスを制したにもかかわらず、、距離不安から単勝2番人気と評価を下げたミホノブルボン。しかしスピードの違いでハナに立つと、直線に入ってもその脚色はまったく衰えず、終わってみれば2着マーメイドタバンに7馬身差を付ける楽勝。距離不安もなんのその、スピードの違いであっさり逃げ切り、周囲の評価を改めさせました。 スプリングステークスの内容から、200m伸びる皐月賞でも問題ないと思われ、単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されたミホノブルボン。前走同様ハナを奪って、2番手を大きく離して逃げました。結局最後までミホノブルボンは影すら踏ませず、快勝!デビューから5連勝、無敗で皐月賞を制し、日本ダービーへ向かいました。 日本ダービー前には再び距離不安説が浮上し、1番人気に推されましたが、距離不安からか単勝は2.3倍。しかしミホノブルボンは皐月賞同様ハナを奪うと、2着ライスシャワーに4馬身差を付ける圧勝。距離不安どころか、皐月賞以上の圧倒的パフォーマンスで、無敗で2冠、日本ダービーを制し、3冠へ向けて休養に入りました。 秋になったミホノブルボンは京都新聞杯をレコードで逃げ切り、3冠に向けて順調に夏を越した姿をファンに披露し、そして3冠のかかった菊花賞へ万全の体勢で臨みました。 菊花賞ではあえて逃げるのではなく、「ブルボンのペースで走ってくれ」と、戸山為夫調教師は騎乗する小島貞博に指示を出しました。 そしてレースはキョウエイボーガンがハナを奪い、ミホノブルボンは2番手でレースを進め、4コーナーではミホノブルボンは先頭に立ち、3冠のゴールに向かって最後の力をふりしぼりました。しかしミホノブルボンをマークしていた生粋のステイヤー、ライスシャワーにあっさり交わされると、2着を死守するのがやっと。3冠の夢は絶たれました。 この菊花賞に限れば明らかに消化不良。ミホノブルボンにとってみれば悔いの残るレースでした。3冠のプレッシャーか、騎乗した小島貞博は大事に乗りすぎました。それとも距離を意識したのか?途中ペースが落ちたにもかかわらず、キョウエイボーガンのペースに合わしてしまった小島貞博。「ブルボンのペースで走ってくれ」と指示を出した戸山為夫調教師にとってみても不満の残る内容でしたが、最後まで愛弟子を責める事はありませんでした。 その後ミホノブルボンは、ジャパンカップでトウカイテイオーと共に日本のエースとして期待されましたが、レース週に右寛跛行により回避すると、2度とターフに戻ってくる事はありませんでした。 「作られた名馬」と表現される事が多いミホノブルボン。しかしこれは正確ではありません。現代の競馬では調教によってある程度は能力を向上させる事は可能かもしれませんが、その産まれ持った天性にはかないません。ミホノブルボン自身、血統的には確かに良血とは言えませんでしたが、その天性が素晴らしかった事は確かです。戸山為夫調教師も「鍛えることによってスタミナを蓄え、距離を克服することは可能」と、語ってるあたりに真意があるのではないでしょうか。 |
ミホノブルボン | |
生年月日 | 1989,4,25 |
性別 | 牡 |
毛色 | 栗毛 |
生産地 | 北海道門別 |
生産者 | 原口圭二 |
馬主 | (有)ミホインターナショナル・原口圭二 |
調教師 | 戸山為夫⇒松元茂樹 |
競争成績 | 8戦7勝 |
GT勝ち鞍 | 朝日杯3歳ステークス・皐月賞・日本ダービー |
獲得賞金 | 525,969,800円 |
レース名 | 年月日 | 競馬場 | 格 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
新馬 | 1991/9/7 | 中京 | - | 1 | 1 | 小島貞 | T1000 | 良 | R.58.1 | 1.1/4馬身 | (ホウエイセイコー) |
500万下 | 11/23 | 東京 | 500 | 1 | 1 | 小島貞 | T1600 | 良 | 1.35.1 | 6馬身 | (クリトライ) |
朝日杯3歳S | 12/8 | 中山 | GT | 1 | 1 | 小島貞 | T1600 | 良 | 1.34.5 | 鼻 | (ヤマニンミラクル) |
スプリングS | 1992/3/29 | 中山 | GU | 2 | 1 | 小島貞 | T1800 | 重 | 1.50.1 | 7馬身 | (マーメイドタバン) |
皐月賞 | 4/19 | 中山 | GT | 1 | 1 | 小島貞 | T2000 | 良 | 2.01.4 | 2.1/2馬身 | (ナリタタイセイ) |
日本ダービー | 5/31 | 東京 | GT | 1 | 1 | 小島貞 | T2400 | 稍重 | 2.27.8 | 4馬身 | (ライスシャワー) |
京都新聞杯 | 10/18 | 京都 | GU | 1 | 1 | 小島貞 | T2200 | 良 | R.2.12.0 | 1.1/2馬身 | (ライスシャワー) |
菊花賞 | 11/8 | 京都 | GT | 1 | 2 | 小島貞 | T3000 | 良 | 3.05.2 | 1.1/4馬身 | ライスシャワー |
マグニテュード Magnitude 1975 / 鹿毛 |
Mill Reef 1968 / 黒鹿毛 |
Never Bend | Nasrullah |
Lalun | |||
Milan Mill | Princequillo | ||
Virginia Water | |||
Altesse Royale 1968 / 栗毛 |
Saint Crespin | Aureole | |
Neocracy | |||
Bleu Azur | Crepello | ||
Blue Prelude | |||
カツミエコー 1983 / 青鹿毛 |
シャレー Chalet 1976 / 青鹿毛 |
Lutier | Klairon |
Flute Enchantee | |||
Christiana | Double Jump | ||
Mount Rosa | |||
ハイフレーム 1968 / 鹿毛 |
Your Highness | Chamossaire | |
Lady Grand | |||
カミヤマト | Rising Flame | ||
コロナ |
ミホノブルボン種牡馬成績 (代表産駒) | ||
代表産駒 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
- | - | - |
ミホノブルボン兄弟 (代表兄弟) | ||
兄弟 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
- | - | - |
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