キングカメハメハ


キングカメハメハ

1999年、フランスはロンシャン競馬場で、日本調教馬が世界最高峰のレース、凱旋門賞で2着に入る大健闘を演じました。彼の名はエルコンドルパサー。そのエルコンドルパサーが産まれた6年後、再び同じ父・キングマンボからとんでもないサラブレットが産声を上げました。

1996年にNHKマイルカップが新設されましたが、NHKマイルカップ⇒日本ダービーの変則2冠を達成した馬はまだ現れていませんでした。。しかしこの変則2冠に執念を燃やしている馬主がいました、金子真人。数々のGT馬を所有し、タニノギムレット(日本ダービー)、クロフネ(NHKマイルカップ・ジャパンカップダート)でこの偉業に挑みましたが、はね返されました。この2頭をもってしても成し遂げられなかった変則2冠でしたが、1頭のサラブレットの出現により、再びこの偉業に挑戦していく事となりました。

京都:芝:1800mでデビューを迎えた1頭のサラブレット、キングカメハメハ。単勝2.6倍、決して断然ではありませんでしたが、1番人気で迎えた新馬戦。2着に付けた着差は1/2馬身でしたが、中段から抜け出す競馬は新馬とは思えない内容で、デビュー戦からその素質の高さを見せ付けました。

2戦目は500万下ながら、毎年クラシックを目指す素質馬が揃う事で有名なエリカ賞。ここで武豊と最初で最後のコンビを組み、新馬戦同様、中段から抜け出す競馬で快勝。順調に勝ち星を重ね、いよいよ東上して来る事となりました。

中山:芝:2000mの京成杯。重賞初挑戦ながら単勝2.3倍で僅差の1番人気。いつも通り中段からレースを進めたキングカメハメハ。しかし関東のファンにキングカメハメハの強さを見せつけることは出来ず、勝ったフォーカルポイントから4馬身3/4差付けられた3着。不甲斐ない敗戦、特に不利があった訳でも、故障した訳でもない。キングカメハメハの評価が微妙なものになった事は確かでした。

京成杯で不覚を取ったキングカメハメハは、すみれステークスから再始動。OP特別とはいえ明らかにメンバーは小粒。ここで負けるようなら日本ダービーへの出走さえ諦めなければいけない状況。しかしここではやはり力が違いました。7頭立ての3番手を追走すると、直線では楽々抜け出し、2着ストラタジェムに2馬身1/2差付ける快勝。当面の目標NHKマイルカップへは毎日杯から進む事となりました。

単勝2.7倍。初めて2番人気での出走となった毎日杯。確かにまだパフォーマンスは物足りない。本当に強いのか?このころのキングカメハメハに対する評価は分かれていました。しかしレースでは好位を楽々追走すると、直線では1頭物が違う走りで、2着シェルゲームに2馬身1/2差付ける完勝。堂々とNHKマイルカップへ向かいました。

ここまで5戦、まだ1度もマイル(1600m)を走った事がなかったキングカメハメハ。この点が危惧されたのか、このNHKマイルカップでは単勝3.6倍とデビュー以来最低の支持率。それでも僅差の1番人気でレースを迎えました。レースはタイキバカラが前半の1000mを57.8秒で飛ばすハイペース。キングカメハメハは中段からじっくり構え直線に向かいました。

長い長い東京競馬場の直線。この直線でキングカメハメハは次元の違う圧倒的パフォーマンスを見せ付けました。馬場の真ん中を堂々と駆け抜けるキングカメハメハ。他の17頭とは明らかに違う異次元の末脚。これが本当に同じサラブレットなのかと思えるくらいの圧倒的力の差を見せつけ、皐月賞3,4着のメイショウボーラーコスモサンビームをまったく寄せ付けず、1.32.5のレースレコードで楽勝。変則2冠を目指す陣営にとっては、皐月賞上位馬を寄せ付けず快勝したことから、自身を持って日本ダービーへ向かう事となりました。

マイルは短い。NHKマイルカップのレース前から陣営もその事は認めていました。しかし終わってみれば5馬身差の楽勝。陣営にとって見ればうれしい誤算。しかし一方、マイルでこれほどのパフォーマンスを見せ付けた馬が2400mを乗り切れるのか?本当はマイラーじゃないのか?陣営にしてみても不安がまったくない訳ではありませんでした。

そして迎えた日本ダービー。皐月賞1,2着馬も順調に出走してきた中、単勝2.6倍、1番人気の支持を受けたキングカメハメハ。レースはマイネルマクロスが前半の1000mを57.6秒で飛ばす近年稀に見るハイペース。キングカメハメハは中段やや前からレースを進めると、4コーナー手前から徐々に進出し、直線に向かいました。2番人気のコスモバルクが4コーナー早め先頭に立ちましたが、キングカメハメハが直線半ばで楽々交わすと、後は独走。力強い脚取りでグングン伸びるキングカメハメハ。まさに威風堂々!結局後方から追い込んできたハーツクライに1馬身1/2差付け、2.23.3のダービーレコードで完勝!史上初めてNHKマイルカップと、日本ダービーの変則2冠制覇!歴史にその名を確実に刻みました。

NHKマイルカップと日本ダービーで力の差を見せ付けたキングカメハメハ。秋は菊花賞への出走も考えられましたが、天皇賞(秋)⇒ジャパンカップ⇒有馬記念のローテーションを選択し、神戸新聞杯から始動。この神戸新聞杯でも2着ケイアイガードに1馬身1/4差付ける快勝。同世代の馬達とは完全に勝負付けが済んだ形となり、歴史的名馬への路を1歩1歩、そして確実に駆け上がっていきました。

天皇賞(秋)でも、3歳馬ながら断然の1番人気は確実な状況で、この秋のGT3戦の結果次第では、いよいよ海外に羽ばたいていく事となっていたキングカメハメハ。天皇賞(秋)に向けて順調に調整を進めていたそのキングカメハメハに悪夢が襲ったのは、天皇賞(秋)の10日前でした。競走馬の不治の病“屈腱炎”を発症している事が判明。そして僅か2日後、陣営は早々とキングカメハメハの引退を表明しました。

8戦7勝。あっという間に駆け抜けた1年弱。見せ付けた類稀なる圧倒的爆発力。NHKマイルカップ⇒日本ダービーを制したサラブレットとして、永遠とキングカメハメハ物語は語り継がれていく事でしょう。



キングカメハメハ
生年月日 2001,3,20
性別
毛色 鹿毛
生産地 北海道早来
生産者 ノーザンファーム
馬主 金子真人
調教師 松田国英
競争成績 8戦7勝
GT勝ち鞍 NHKマイルカップ・日本ダービー(東京優駿)
獲得賞金 429,733,000円

レース名 年月日 競馬場 人気 着順 騎手 距離 馬場 タイム 着差 1着(2着)馬
新馬 2003/11/16 京都 - 2 1 安藤勝 T1800 1.50.5 1/2馬身 (ユニバーサル)
エリカ賞 12/13 阪神 500 1 1 武豊 T2000 2.02.6 1/2馬身 (グレートベースン)
京成杯 2004/1/18 中山 GV 1 3 バルジュー T2000 2.00.0 4.3/4馬身 フォーカルポイント
すみれステークス 2/29 阪神 OP 1 1 安藤勝 T2200 2.16.4 2.1/2馬身 (ストラタジェム)
毎日杯 3/27 阪神 GV 2 1 福永 T2000 2.01.2 2.1/2馬身 (シェルゲーム)
NHKマイルカップ 5/9 東京 GT 1 1 安藤勝 T1600 1.32.5 5馬身 (コスモサンビーム)
日本ダービー 5/30 東京 GT 1 1 安藤勝 T2400 R.2.23.3 1.1/2馬身 ハーツクライ
神戸新聞杯 9/26 阪神 GU 1 1 安藤勝 T2000 1.59.0 1.1/4馬身 (ケイアイガード)

Kingmambo


1990 / 鹿毛
Mr.Prospector

1970 / 栗毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
Miesque

1984 / 鹿毛
Nureyev Northern Dancer
Special
Pasadoble Prove Out
Santa Quilla
マンファス

Manfath


1991 / 黒鹿毛
ラストタイクーン

Last Tycoon

1983 / 黒鹿毛
Try My Best Northern Dancer
Sex Appeal
Mill Princess Mill Reef
Irish Lass
Pilot Bird

1983 / 鹿毛
Blakeney Hethersett
Windmill Girl
The Dancer Green Dancer
Khazaeen


キングカメハメハ種牡馬成績 (代表産駒)
代表産駒 主な勝ち鞍等
- - -

キングカメハメハ兄弟 (代表兄弟)
兄弟 主な勝ち鞍等
The Deputy(半兄) サンタアニタダービー


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