サクラローレル


サクラローレル

3冠馬ナリタブライアンと同期ながら、対戦したのは1度だけ、それも5歳(旧6歳)とまだまだ先の話でした。

デビュー前から体質が弱く、デビューは年明けの1月と少し遅れたサクラローレル。しかし素質はデビュー前から高く評価され、単勝1.8倍の圧倒的1番人気でデビュー戦を迎えました。しかしスタートを失敗したサクラローレルはそのまま何も出来ずに9着敗戦。2戦目も3着に敗れましたが、3戦目でようやく勝ち上がりました。

しかしまだまだ脚元がパンとせず、500万下も勝ち上がるまでに3戦を擁し、陣営も脚元に負担のかからないダート戦を使ったりと試行錯誤を繰り返しました。

この頃クラシック戦線ではナリタブライアンが皐月賞を制し、サクラローレルにとっては、まだまだ雲の上の存在でした。しかし青葉賞で3着に入ったサクラローレルは、いよいよナリタブライアンと対戦出来る所までたどり着きましたが、不運にもレース後、右後脚に球節炎を発症し、やむなく日本ダービーを回避する事となり、休養を余儀なくされました。

球節炎も順調に回復し、秋に復帰したサクラローレル。復帰初戦の佐渡特別(900万下)では3着に終わり、菊花賞の出走権を賭けてセントライト記念に出走し、2番人気に推されましたが8着と、まだまだ素質を活かしきれませんでした。

条件戦から出直す事となったサクラローレルは、900万下で連続2着の後、比良山特別(900万下)、冬至ステークス(1600万下)を連勝すると、年明けの金杯で重賞初制覇を飾りました。続く目黒記念でも断然人気で出走しましたが、ハギノリアルキングに最後クビ差交わされ2着。それでも内容的には負けて強しで、天皇賞(春)に向けて順調にきていました。

しかし悪夢は突然訪れました。天皇賞(春)に向けて早めに栗東入りし調教を積んでいたサクラローレルでしたが、追い切り中に両前脚管骨骨折。初めてのGT出走どころか、長期休養を余儀なくされました。

そして1年以上休養したサクラローレルは中山記念で復帰。主戦ジョッキーの小島太が引退の為、この中山記念から横山典弘が手綱を取る事となりました。1年以上の骨折明けからか、9番人気とまったく人気はありませんでしたが、後方から皐月賞馬のジェニュインを並ぶ間もなく差し切り、改めて素質の高さを示し、天皇賞(春)に向かいました。

3番人気。前走の内容から評価が上がったのは確かでしたが、この年の天皇賞(春)は、阪神大賞典で歴史的マッチレースを演じた、ナリタブライアンマヤノトップガンの2強対決に注目が集まり、3番人気と言っても2頭からは大きく離された3番人気で、さほど話題にも上がりませんでした。

そして迎えたGT初出走の天皇賞(春)。サクラローレルは後方でじっと我慢し、2強を見ながらの競馬でした。マヤノトップガンがちぐはぐな競馬で、伸び悩む中、ナリタブライアンが直線で先頭に立ちました。憧れの、ずっと雲の上の存在だったナリタブライアン。しかしそのナリタブライアンを並ぶ間もなく一気に差し切り、ナリタブライアンに2馬身1/2差付ける圧勝。素質では決して負けていない事を一瞬で証明して見せました。

天皇賞(春)制覇後、休養に入ったサクラローレル。秋はオールカマーから始動し、マヤノトップガンに次ぐ2番人気でしたが、2着以下をまったく寄せ付けず完勝。天皇賞(秋)に向かいました。

脚元の不安は拭い去れなかったが、完全に素質が開花したサクラローレルは1番人気でレースを迎えました。17頭立ての16番枠。東京競馬場の2000mはスタート後すぐコーナーに入る為、明らかに外枠は不利。それでも今のサクラローレルが負ける要素はこれくらいで、それほどこの日のサクラローレルの出来は絶好で、充実していました。

レースは予想通りトウカイタローと、カネツクロスが引っ張りましたが、ペースはスロー。後方からレースを進めたサクラローレルにとっては展開は不向きでしたが、それでも今のサクラローレルなら直線だけで十分間に合うと思った横山典弘はあせらず、じっと我慢し直線に向かいました。

そして直線では外ではなく、内を狙ったサクラローレルと横山典弘。しかし1頭分のスペースが空いたと思ったのもつかの間、そのスペースには名手、武豊騎乗のマーベラスサンデーに塞がれてしまい、完全に行き場を失い、やっと前が空いたと思った時には、3歳馬(旧4歳)バブルガムフェローが、史上初の3歳馬として天皇賞(秋)のゴール板を駆け抜けていました。完全な騎乗ミス。横山典弘も自分の騎乗ミスを認め、それでも最後はメンバー最速の34.1秒の上がりで3着まで追い上げ、前さえ空いていれば突き抜けていたのは間違いありません。

天皇賞(秋)で悔しい敗戦を喫したサクラローレルは、まだ脚元の不安もある事から、ジャパンカップと有馬記念の2戦を走るのは負担が大きい。そこで陣営は有馬記念1本に絞り調整を進めました。

出走14頭中、GT馬は9頭。豪華なメンバーが揃ったこの年の有馬記念。その中にあってもサクラローレルの存在は明らかに抜けていました。単勝2.2倍。力さえ出し切れば負けない。誰もがそう思いレースは幕を開けました。

サクラローレルは中段からレースを進め、天皇賞(秋)の二の舞いだけは避けたいと、横山典弘は4コーナーから外に持ち出し、直線に向かいました。サクラローレルは直線先頭に立ったマーベラスサンデーを並ぶ間もなく交わすと、後は独走、2着マーベラスサンデーに2馬身1/2差付ける完勝でした。ゴール後、横山典弘も派手にガッツポーズ。天皇賞(秋)の騎乗を非難されていた男は、この有馬記念に賭ける思いは想像以上でした。

有馬記念後は、天皇賞(春)連覇を目指し調整されていましたが、ここでサクラローレルは骨折をしてしまいました。しかし程度は軽症で、天皇賞(春)へは直行する事となりました。

そして迎えた天皇賞(春)。この年は“3強”と騒がれ、その中でもサクラローレルは有馬記念からぶっつけにもかかわらず1番人気に支持され、マヤノトップガンが2番人気、マーベラスサンデーが3番人気でレースを迎えました。

3強の中では1番前でレースを進めたサクラローレルは3コーナーから早くも仕掛け、4コーナー過ぎで早くも先頭に立ちました。サクラローレルをマークするように武豊・マーベラスサンデーも追走。しかしマヤノトップガンだけは、我関せず。最後の直線に賭けました。

サクラローレルマーベラスサンデーが凌ぎを削る中、1頭だけ追い出しを最後の最後まで我慢したマヤノトップガンはこの2頭を一気に差し切り、サクラローレルの天皇賞(春)連覇を阻止し、初めてサクラローレルに先着する事となりました。展開的には1番厳しいレースとなったサクラローレルでしたが、マーベラスサンデーには半馬身先着し、マーベラスサンデー陣営も脱帽する結果となりました。

天皇賞(春)のレース前から、結果次第で凱旋門賞に挑戦すると表明していた陣営は、レース後、「フォア賞をステップレースに、凱旋門賞に挑戦する」と正式に表明。そして騎手も横山典弘から武豊にスイッチし、本気で凱旋門賞を獲りに行きました。

そして9月14日。天皇賞(春)から約5ヶ月空いていましたが、サクラローレルはフランスに8月上旬に入り、順調に調整が進められ、状態は万全でした。そして凱旋門賞と同じコース、同じ距離のフォア賞に向かったサクラローレルは1番人気で迎えられました。

中段からレースを進めたサクラローレル。しかし直線に入っても新たにコンビを組んだ武豊の鞭にまったく反応せず、最後は武豊も追うのをやめました。結果8頭立ての8着。さらにレース後武豊は下馬し、右前脚屈腱炎と判明。結局サクラローレルは夢の舞台に立つ事は出来ず、そのまま引退、帰国の途に着きました。

最後まで脚元に泣かされたサクラローレル。しかしその素質は3冠馬ナリタブライアンにも引けを取らないことを証明し、サクラローレルが抱いた大きな夢は産駒に託される事となりました。



サクラローレル
生年月日 1991,5,8
性別
毛色 栃栗毛
生産地 北海道静内
生産者 谷岡牧場
馬主 (株)さくらコマース
調教師 境勝太郎⇒小島太
競争成績 中央21戦9勝 / 海外1戦0勝
GT勝ち鞍 天皇賞(春)・有馬記念
獲得賞金 626,991,000円

レース名 年月日 競馬場 人気 着順 騎手 距離 馬場 タイム 着差 1着(2着)馬
新馬 1994/1/6 中山 - 1 9 小島太 T1600 1.37.9 5馬身 シャインフォード
新馬 1/15 中山 - 2 3 小島太 T1600 1.37.8 4馬身 マツブリジャンテ
未勝利 1/30 東京 - 1 1 小島太 D1400 1.26.6 3馬身 (シクレノンヴォルク)
春菜賞 2/19 東京 500 4 6 小島太 T1600 1.35.9 2馬身 インディードスルー
500万下 3/6 中山 500 2 2 ペリエ D1800 1.54.1 3/4馬身 タイキブリザード
500万下 3/26 中山 500 1 1 小島太 D1800 1.53.9 2.1/2馬身 (キャンドルタイム)
青葉賞 4/30 東京 GV 3 3 小島太 T2400 2.28.9 1/2馬身 エアダブリン
佐渡S 9/4 新潟 900 2 3 小島太 T2000 2.01.3 4馬身 ダイゴウソウル
セントライト記念 9/25 中山 GU 2 8 的場 T2200 2.17.0 6馬身 ウインドフィールズ
六社特別 10/15 東京 900 1 2 小島太 T1800 1.47.5 1.3/4馬身 バースルート
秋興特別 10/30 東京 900 1 2 小島太 T2000 2.01.5 3/4馬身 ブランドミッシェル
比良山特別 11/20 京都 900 1 1 小島太 T2200 2.14.1 2馬身 (メジロスズマル)
冬至S 12/18 中山 1600 1 1 小島太 T2500 2.33.5 2馬身 (ハヤテマジシャン)
金杯(東) 1995/1/5 中山 GV 2 1 小島太 T2000 2.00.5 2.1/2馬身 (ゴールデンアイ)
目黒記念 2/19 東京 GU 1 2 小島太 T2500 2.31.2 ハギノリアルキング
中山記念 1996/3/10 中山 GU 9 1 横山典 T1800 1.47.2 1.3/4馬身 ジェニュイン
天皇賞(春) 4/21 京都 GT 3 1 横山典 T3200 3.17.8 2.1/2馬身 ナリタブライアン
オールカマー 9/15 中山 GU 2 1 横山典 T2200 2.16.7 2.1/2馬身 (ファッションショー)
天皇賞(秋) 10/27 東京 GT 1 3 横山典 T2000 1.58.9 3/4馬身 バブルガムフェロー
有馬記念 12/22 中山 GT 1 1 横山典 T2500 2.33.8 2.1/2馬身 マヤノトップガン
天皇賞(春) 1997/4/27 京都 GT 1 2 横山典 T3200 3.14.6 1.1/4馬身 マヤノトップガン
フォワ賞 9/14 ロンシャン GV 1 8 武豊 T2400 稍重 2.32.4 3.1/2馬身 Yokohama

Rainbow Quest


1981 / 鹿毛
Blushing Groom

1974 / 栗毛
Red God Nasrullah
Spring Run
Runaway Bride Wild Risk
Aimee
I Will Follow

1975 / 鹿毛
Herbager Vandale
Flagette
Where You Lead Raise a Native
Noblesse
ローラローラ

Lola Lola


1985 / 栗毛
Saint Cyrien

1980 / 鹿毛
Luthier Klairon
Flute Enchantee
Sevres Riverman
Sartoga
Bold Lady

1975 / 栗毛
Bold Lad Bold Ruler
Misty Morn
Tredam High Treason
Damasi


サクラローレル種牡馬成績 (代表産駒)
代表産駒 主な勝ち鞍等
シンコールビー フローラステークス
サクラセンチュリー 日経新春杯・鳴尾記念
ローマンエンパイア 京成杯

サクラローレル兄弟 (代表兄弟)
兄弟 主な勝ち鞍等
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