ビワハヤヒデ


ビワハヤヒデ

タマモクロスからオグリキャップ、そしてメジロマックイーンに引き継がれた芦毛伝説。その後継馬として現れたのがビワハヤヒデでした。

しかしデビュー前からそれほど注目されていた訳ではありませんでした。芦毛という事からどうしても馬体は見栄えせず、サラブレットとしては顔も大きく、お世辞にも綺麗なサラブレットとは言えませんでした。

しかしデビュー戦は2番人気ながら、2着に1.7秒差を付ける大楽勝。この圧倒的パフォーマンスでビワハヤヒデの名前は一気に競馬関係者に知れ渡り、続くもみじステークス(OP特別)をレコードで快勝。さらに3戦目のデイリー杯3歳ステークス(現・デイリー杯2歳ステークス)もレコードで快勝すると、朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)では単勝1.3倍の圧倒的人気に推されました。

しかし朝日杯3歳ステークスではエルウェーウィンにハナ差、差し切られデビューから4連勝でGT制覇はなりませんでした。

年が明け共同通信杯から始動したビワハヤヒデは、マイネルリマークを捉えきれず2着。しかし続く若葉ステークスでは2馬身差を付けて快勝し、牡馬クラシックの第1弾皐月賞へ向かいました。

“3強”。この年はウイニングチケットナリタタイシン、そしてビワハヤヒデの3頭が3強と呼ばれ、現にこの3頭の力が明らかに抜けていました。そしてその中でも弥生賞を制したウイニングチケットの評価が1枚上でした。

そして皐月賞では単勝2.0倍で1番人気がウイニングチケット、3.5倍の2番人気にビワハヤヒデ、少し離された9.2倍の3番人気がナリタタイシンでした。しかし結果は3強の中で1番後方にいたナリタタイシンが直線素晴らしい切れ味で2頭をまとめて差し切り1冠目の皐月賞を制し、ビワハヤヒデはクビ差の2着、ウイニングチケットは4着。3強の中では1番評価の低かったナリタタイシンが皐月賞を制した事で日本ダービーではさらに拮抗した人気となりました。

皐月賞で4着に敗れながら、直線の長い東京競馬場でならと、1番人気に支持されたのはウイニングチケットで3.6倍。ビワハヤヒデは3.9倍で2番人気。皐月賞馬ナリタタイシンが4.0倍で3番人気と、まさに人気、実力とも伯仲した日本ダービーとなりました。

レースはビワハヤヒデは中段、ウイニングチケットは後方、さらにほぼ最後方からナリタタイシンと、皐月賞とほぼ同じ隊列で進み、ウイニングチケットが3コーナーから徐々に進出し、直線に向かいました。先に抜け出したウイニングチケットビワハヤヒデが必死に追いすがりましたが、最後まで着差は縮まらず、2冠目の日本ダービーはウイニングチケットが制し、「柴田政人悲願のダービー制覇」と大いに沸きました。ビワハヤヒデはクラシック2戦共2着に甘んじ、詰めの甘さを露呈し、秋に向けて休養に入りました。

一夏を越して、成長力で群を抜いていたのはビワハヤヒデでした。神戸新聞杯から始動したビワハヤヒデはこのレースを快勝すると、菊花賞ではウイニングチケットを抑え1番人気に支持され、レースでも春の鬱憤を晴らすかのように2着ステージチャンプに5馬身差を付けるレコードで圧勝!この菊花賞を機に3強の形態は崩れ、ビワハヤヒデの1強時代に突入しました。

菊花賞制覇後、有馬記念に出走したビワハヤヒデは、古馬相手に堂々と1番人気に支持されましたが、トウカイテイオーの奇跡の復活の前に2着に終わり、来春に向けて休養に入りました。

年が明け、京都記念から始動したビワハヤヒデは、2着に7馬身差を付ける圧勝。そして天皇賞(春)へは2ヶ月空きましたが、単勝1.3倍の断然人気で出走しました。

僅か11頭立てと寂しい天皇賞(春)となりましたが、ビワハヤヒデはここでもまったく危なげないレースぶりで後続を完封、GT2勝目を上げました。

天皇賞(春)から宝塚記念に直行したビワハヤヒデは、ここでも単勝1.2倍と断然人気で、4コーナー早め先頭から後続をまったく寄せ付けず、2着アイルトンシンボリに5馬身差を付けるレコードで圧勝!中長距離路線では敵無し、まさにビワハヤヒデの独壇場となっていました。

夏を休養に充てたビワハヤヒデはオールカマーから始動し、2着ウイニングチケットを寄せ付けず完勝。これで今年に入って重賞4連勝で、この秋もビワハヤヒデの独壇場は続くと誰もが思い、天皇賞(秋)へ向かいました。


単勝1.5倍。今年に入ってすべて1倍台の圧倒的人気で出走する事となったビワハヤヒデ。死角などまったく見当たらないビワハヤヒデ。いつものように好位からレースを進め、直線に向かいました。しかし伸びない、前を行くネーハイシーザーとの差は一向に縮まらず、まさかの5着敗戦。長い距離を使われていたビワハヤヒデにとっては2000mは短かったのか?と距離を敗因に上げる者も少なくありませんでしたが、レコード4回をマークしているビワハヤヒデにとっては、スピード決着は望むところ。失礼な話だ。そんなレベルの馬じゃない事は重々分かっていたはず。結局レース後歩様がおかしく、診断の結果「左前屈腱炎」と判明。復帰には1年以上かかることから、そのままビワハヤヒデはターフを去りました。

この年、半弟のナリタブライアンがクラシック3冠を達成し、有馬記念での史上最強の兄弟対決は“幻”に終わりました。実現していればどんなレースになったのか?その史上最強の対決は産駒に託される事となりました。



ビワハヤヒデ
生年月日 1990,3,10
性別
毛色 芦毛
生産地 福島県
生産者 早田牧場新冠支場
馬主 (有)ビワ
調教師 浜田光正
競争成績 16戦10勝
GT勝ち鞍 菊花賞・天皇賞(春)・宝塚記念
獲得賞金 897,675,000円

レース名 年月日 競馬場 人気 着順 騎手 距離 馬場 タイム 着差 1着(2着)馬
新馬 1992/9/13 阪神 - 2 1 岸滋彦 T1600 1.38.3 大差 (テイエムシンザン)
もみじS 10/10 京都 OP 1 1 岸滋彦 T1600 R.1.34.3 1.1/4馬身 (シルクムーンライト)
デイリー杯3歳S 11/7 京都 GU 1 1 岸滋彦 T1400 R.1.21.7 1.3/4馬身 (テイエムハリケーン)
朝日杯3歳S 12/13 中山 GT 1 2 岸滋彦 T1600 1.35.5 エルウェーウィン
共同通信杯4歳S 1993/2/14 東京 GV 1 2 岸滋彦 T1800 1.48.7 マイネルリマーク
若葉S 3/20 中山 OP 1 1 岡部 T2000 2.00.9 2馬身 (ケントニーオー)
皐月賞 4/18 中山 GT 2 2 岡部 T2000 2.00.3 ナリタタイシン
日本ダービー 5/30 東京 GT 2 2 岡部 T2400 2.25.6 1/2馬身 ウイニングチケット
神戸新聞杯 9/26 阪神 GU 1 1 岡部 T2000 2.02.9 1.1/2馬身 (ネーハイシーザー)
菊花賞 11/7 京都 GT 1 1 岡部 T3000 R.3.04.7 5馬身 (ステージチャンプ)
有馬記念 12/26 中山 GT 1 2 岡部 T2500 2.31.0 1/2馬身 トウカイテイオー
京都記念 1994/2/13 阪神 GU 1 1 岡部 T2200 稍重 2.16.8 7馬身 (ルーブルアクト)
天皇賞(春) 4/24 阪神 GT 1 1 岡部 T3200 稍重 3.22.6 1.1/4馬身 (ナリタタイシン)
宝塚記念 6/12 阪神 GT 1 1 岡部 T2200 R.2.11.2 5馬身 (アイルトンシンボリ)
オールカマー 9/18 中山 GU 1 1 岡部 T2200 2.14.5 1.3/4馬身 (ウイニングチケット)
天皇賞(秋) 10/30 東京 GT 1 5 岡部 T2000 1.59.1 2.1/4馬身 ネーハイシーザー

シャルード

Sharrood

1983 / 芦毛
Caro

1967 / 芦毛
Fortino Grey Sovereign
Ranavelo
Chambord Chamossaire
Life Hill
Angel Island

1967 / 鹿毛
Cougar Tale of Two Cities
Cindy Lou
Who's to Know Fleet Nasrullah
Masked Lady
パシフィカス

Pacificus


1981 / 鹿毛
Northern Dancer

1961 / 鹿毛
Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Pacific Princess

1973 / 鹿毛
Damascus Sword Dancer
Kerala
Fiji Acropolis
Riffi


ビワハヤヒデ種牡馬成績 (代表産駒)
代表産駒 主な勝ち鞍等
- - -

ビワハヤヒデ兄弟 (代表兄弟)
兄弟 主な勝ち鞍等
ナリタブライアン(半弟) 朝日杯3歳ステークス
クラシック3冠(皐月賞・日本ダービー・菊花賞)
有馬記念
ビワタケヒデ(半弟) ラジオたんぱ賞


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