ホクトベガ |
ダート:1200mのデビュー戦を楽勝し、そのダート適正はこの頃から折り紙付きだったホクトベガ。2戦目で2着に終わりましたが、3戦目のカトレア賞で2勝目を上げると、いよいよクラシック・桜花賞の出走権を賭けてフラワーカップに出走しました。 初めての芝にもかかわらず、好位から抜け出す強い内容で桜花賞の出走権を得たホクトベガは、本番の桜花賞でも6番人気に支持されレースを迎えました。 外枠16番枠からスタートしたホクトベガは、中段やや後ろからレースを進めましたが、稀に見るスローペースで前の馬達が中々止まらず、上位陣はすべて先行馬でした。そんな中、唯一後ろからの競馬で掲示板に入ったホクトベガの素質もまた本物でした。 桜花賞からオークスへ直行したホクトベガ。桜花賞の内容から評価も上がり、5番人気での出走でした。桜花賞よりも前でレースを進めたホクトベガでしたが、結局伸び切れず6着敗戦。芝ではまだ詰めが甘い。本格化はもう少し先。陣営の一致した意見でした。 一夏を越し、クイーンステークスから始動したホクトベガ。しかしクイーンステークス2着、続くローズスークスは3着。この世代ではTOPクラスの力を持っていることは確かでしたが、詰めの甘さは解消されていないと思われ、エリザベス女王杯では9番人気と意外なほどに低評価でした。さらにこのエリザベス女王杯で牝馬3冠のかかったベガの壁はあまりにも高いと思われていました。 ベガとホクトベガ。名前は似てるが人気には大きな開きがあり、ゲートは開かれました。道中は中段からベガをマークするようにレースを進めたホクトベガ。しかし3コーナー過ぎから抜群の手応えでベガを交わして行き直線に向かいました。 直線に入ると、今までの詰めの甘さが嘘のようにゴール目指して駆け抜けるホクトベガ。結局後のマイル王、ノースフライトに1馬身1/4差付ける完勝。実況でも「ベガはベガでもホクトベガですー!」とあまりにも有名なフレーズを残しました。 エリザベス女王杯を制したホクトベガでしたが、その後はあいかわらずのレースぶり。久々となったダート戦、平安ステークスでも10着に終わるなど、まだまだ牝馬の中でも特別抜けた存在ではありませんでした。 あっさり負けたかと思えば、夏には札幌日経オープンと札幌記念を連勝。しかしその後は長いトンネルに入り、気付けば9戦勝ち星から遠ざかり、陣営は再びダート戦に活躍の場を求め、川崎のエンプレス杯に出走しました。 不良の川崎競馬場。ここでホクトベガのダート適正を改めて思い知らされました。僅か6頭立てでしたが、中央のダート重賞の常連アイオーユーなども出走し、簡単には行かないと予想されました。しかし終わってみれば鞍上横山典弘の手は最後まで微動だにせず、2着に18馬身差を付ける大楽勝!負けた騎手の1人が「前のレースの馬が残っているのかと思った」と言うほどの圧勝劇でした。 エンプレス杯圧勝後、ホクトベガは再び芝のレースを走りましたが、芝では勝ちきれない。そろそろ引退も考えられましたが、ホクトベガにもう一花咲かせたいと考えた陣営は現役続行を選択し、今後はダート戦を中心に戦う事を決断しました。 すでに6歳(旧・7歳)になっていたホクトベガは、川崎記念から始動。ここでは地方のダート戦の主役ライブリマウントと対戦。人気も当然ライブリマウントが1番人気、ホクトベガは2番人気でした。しかしダートではやはり物が違いました。ホクトベガは2着に5馬身差を付ける圧勝。そしてここからホクトベガの快進撃が始まりました。 GTになる前のフェブラリーステークスを快勝すると、そこから再び地方のダート戦で荒稼ぎ。気付けばダート戦“7連勝”、まさにダートでは敵無し!しかもすべて2馬身以上付ける完璧な内容で、いつしか“砂の女王”と呼ばれるようになっていました。 今のホクトベガなら芝でも勝負になる!そう思った陣営は、エリザベス女王杯にホクトベガを出走させました。しかしスローの展開の中、4着に追い込むのがやっと。それでも後方からメンバー最速の上がり33.7秒で追い込み、勝ったダンスパートナーから1/2差と、芝でもまだまだ走れる事を証明して見せました。 その後、浦和記念を快勝し、暮れの有馬記念出走に踏み切りましたが、GT馬9頭が揃う豪華なメンバーの中、9着までが精一杯でした。 年が明け7歳(旧・8歳)になったホクトベガは川崎記念を連覇し、引退レースに世界最高賞金額のドバイワールドカップ(ダート:2000m)を選択しました。 世界のトップホースが集う、世界最高峰のレース、ドバイワールドカップ。日本から来た7歳牝馬は12頭中8番人気。当然人気などない。それでも日本のファンにしてみれば、ホクトベガがダートで負けるところなど想像出来ない、そんな思いでした。 日本のファン、競馬関係者の期待を一身に背負って出走したホクトベガ。このレースが最後、このレースさえ無事に終えれば、長い競争生活を終え、繁殖生活に入る予定だったホクトベガ。しかしホクトベガが、ドバイ・ナドアルシバ競馬場のゴール板を駆け抜けることはありませんでした。レース中に他馬と接触し転倒。そのまま治療の施しようがないという事で、日本から遥か離れたドバイの地で、安楽死の処置がとられました。 3歳(旧・4歳)時にGTを勝ったにもかかわらず、7歳(旧・8歳)まで走ったホクトベガ。同期のベガが早々と引退し、初年度産駒からGTウイナーを輩出するなど繁殖牝馬としても成功を収めましたが、ホクトベガの子供がターフを駆け抜ける事はありませんでした。 |
ホクトベガ | |
生年月日 | 1990,3,26 |
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛 |
生産地 | 北海道浦河 |
生産者 | 酒井牧場 |
馬主 | 金森森商事(株) |
調教師 | 中野隆良 |
競争成績 | 中央32戦7勝 / 地方9戦9勝 / 海外1戦0勝 |
GT勝ち鞍 | エリザベス女王杯・帝王賞・マイルCS南部杯・川崎記念 |
獲得賞金 | 888,126,000円 |
レース名 | 年月日 | 競馬場 | 格 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
新馬 | 1993/1/5 | 中山 | - | 2 | 1 | 加藤和 | D1200 | 良 | 1.12.5 | 9馬身 | (イズミブルー) |
朱竹賞 | 1/16 | 中山 | 500 | 1 | 2 | 加藤和 | D1800 | 不良 | 1.52.4 | 1/2馬身 | サイキョウホウザン |
カトレア賞 | 2/20 | 東京 | 500 | 1 | 1 | 加藤和 | D1600 | 良 | 1.37.8 | 3馬身 | (サンエイレコード) |
フラワーカップ | 3/20 | 中山 | GV | 2 | 1 | 加藤和 | T1800 | 良 | 1.49.7 | 1/2馬身 | (タイジュリエット) |
桜花賞 | 4/11 | 阪神 | GT | 6 | 5 | 加藤和 | T1600 | 良 | 1.37.7 | 2.3/4馬身 | ベガ |
オークス | 5/23 | 東京 | GT | 5 | 6 | 加藤和 | T2400 | 良 | 2.28.2 | 6馬身 | ベガ |
クイーンS | 10/3 | 中山 | GV | 2 | 2 | 加藤和 | T2000 | 良 | 2.02.6 | 2馬身 | ユキノビジン |
ローズS | 10/24 | 京都 | GU | 3 | 3 | 加藤和 | T2000 | 良 | 2.00.7 | 3馬身 | スターバレリーナ |
エリザベス女王杯 | 11/14 | 京都 | GT | 9 | 1 | 加藤和 | T2400 | 良 | 2.24.9 | 1.1/2馬身 | (ノースフライト) |
ターコイズS | 12/18 | 中山 | OP | 2 | 3 | 加藤和 | T1800 | 良 | 1.49.8 | 2.3/4馬身 | ユキノビジン |
平安S | 1994/1/15 | 阪神 | GV | 2 | 10 | 加藤和 | D1800 | 良 | 1.54.3 | 8馬身 | トーヨーリファール |
中山牝馬S | 2/27 | 中山 | GV | 2 | 4 | 加藤和 | T1800 | 良 | 1.48.3 | 4.1/4馬身 | ホッカイセレス |
京王杯スプリングC | 4/23 | 東京 | GU | 5 | 5 | 加藤和 | T1400 | 良 | 1.21.9 | 3.1/2馬身 | スキーパラダイス |
札幌日経OP | 6/12 | 札幌 | OP | 1 | 1 | 加藤和 | T1800 | 良 | R.1.47.2 | 2馬身 | (モガミサルノ) |
札幌記念 | 7/3 | 札幌 | GV | 1 | 1 | 加藤和 | T2000 | 良 | 2.00.9 | 1/2馬身 | (エーピーグランプリ) |
函館記念 | 8/21 | 札幌 | GV | 1 | 3 | 加藤和 | T2000 | 良 | 2.02.1 | 3馬身 | ワコーチカコ |
毎日王冠 | 10/9 | 東京 | GU | 11 | 9 | 加藤和 | T1800 | 良 | 1.45.4 | 4.3/4馬身 | ネーハイシーザー |
富士S | 11/13 | 東京 | OP | 2 | 6 | 加藤和 | T1800 | 良 | 1.47.6 | 4馬身 | サクラチトセオー |
阪神牝馬特別 | 12/18 | 阪神 | GU | 6 | 5 | 加藤和 | T2000 | 良 | 2.01.2 | 3.1/2馬身 | メモリージャスパー |
アメリカJCC | 1995/1/22 | 中山 | GU | 6 | 2 | 加藤和 | T2200 | 良 | 2.14.5 | 首 | サクラチトセオー |
中山牝馬S | 2/26 | 中山 | GV | 1 | 2 | 加藤和 | T1800 | 稍重 | 1.49.5 | 1/2馬身 | アルファキュート |
中山記念 | 3/12 | 中山 | GU | 2 | 8 | 加藤和 | T1800 | 稍重 | 1.50.8 | 2.3/4馬身 | フジヤマケンザン |
京王杯スプリングC | 4/22 | 東京 | GU | 11 | 3 | 横山典 | T1400 | 良 | 1.21.5 | 3/4馬身 | ドゥマーニ |
安田記念 | 5/14 | 東京 | GT | 3 | 5 | 横山典 | T1600 | 良 | 1.33.5 | 2馬身 | ハートレイク |
エンプレス杯 | 6/13 | 川崎 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D2000 | 不良 | 2.06.5 | 18馬身 | (アクアライデン) |
函館記念 | 8/20 | 函館 | GV | 5 | 11 | 的場 | T2000 | 重 | 2.03.5 | 7馬身 | インターマイウェイ |
毎日王冠 | 10/8 | 東京 | GU | 8 | 7 | 大塚 | T1800 | 重 | 1.49.2 | 4馬身 | スガノオージ |
天皇賞(秋) | 10/29 | 東京 | GT | 15 | 16 | 中館 | T2000 | 良 | 2.00.2 | 8馬身 | サクラチトセオー |
福島記念 | 11/19 | 新潟 | GV | 8 | 2 | 中館 | T2000 | 良 | 2.01.9 | 頭 | マイネルブリッジ |
阪神牝馬特別 | 12/17 | 阪神 | GU | 5 | 5 | 横山典 | T2000 | 良 | 2.01.9 | 3.1/4馬身 | サマニベッピン |
川崎記念 | 1996/1/24 | 川崎 | OP | 2 | 1 | 横山典 | D2000 | 良 | 2.07.5 | 5馬身 | (ライフアサヒ) |
フェブラリーS | 2/17 | 東京 | GU | 3 | 1 | 横山典 | D1600 | 良 | 1.36.5 | 3.1/2馬身 | (アイオーユー) |
ダイオライト記念 | 3/20 | 船橋 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D2400 | 良 | 2.31.3 | 2.1/2馬身 | (スペクタクル) |
群馬記念 | 5/5 | 高崎 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D1500 | 不良 | R.1.33.6 | 2.1/2馬身 | (ヒカリルーファス) |
帝王賞 | 6/19 | 大井 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D2000 | 良 | 2.04.2 | 2馬身 | (アイオーユー) |
エンプレス杯 | 7/15 | 川崎 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D2000 | 良 | 2.06.7 | 8馬身 | (スピードアイリス) |
マイルCS南部杯 | 10/10 | 盛岡 | GT | 1 | 1 | 的場 | D1600 | 良 | 1.38.3 | 7馬身 | (ヘイセイシルバー) |
エリザベス女王杯 | 11/10 | 京都 | GT | 4 | 4 | 的場 | T2200 | 良 | 2.14.4 | 1/2馬身 | ダンスパートナー |
浦和記念 | 12/4 | 浦和 | OP | 1 | 1 | 横山典 | D2000 | 良 | 2.05.5 | 3/4馬身 | (キョウトシチー) |
有馬記念 | 12/22 | 中山 | GT | 9 | 9 | 藤田 | T2500 | 良 | 2.36.0 | 13馬身 | サクラローレル |
川崎記念 | 1997/2/5 | 川崎 | GT | 1 | 1 | 横山典 | D2000 | 稍重 | 2.06.7 | 3馬身 | (キョウトシチー) |
ドバイワールドカップ | 4/3 | ナドアルシバ | GT | 8 | 中止 | 横山典 | D2000 | 良 | 競争中止 | Singspiel |
ナグルスキー Nagurski 1981 / 青鹿毛 |
Nijinsky 1967 / 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Flaming Page | Bull Page | ||
Flaring Top | |||
Deceit 1968 / 黒鹿毛 |
Prince John | Princequillo | |
Not Afraid | |||
Double Agent | Double Jay | ||
Conniver | |||
タケノファルコン 1982 / 黒鹿毛 |
フィリップオブスペイン Philip of Spain 1969 / 黒鹿毛 |
Tudor Melody | Tudor Minstrel |
Matelda | |||
Lerida | Matador | ||
Matador | |||
クールフェアー 1970 / 栗毛 |
Yellow God | Red God | |
Sally Deans | |||
シヤークスキン | Silver Shark | ||
Atrevida |
ホクトベガ繁殖成績 (代表産駒) | ||
代表産駒 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
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ホクトベガ兄弟 (代表兄弟) | ||
兄弟 | 性 | 主な勝ち鞍等 |
- | - | - |
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